石井 克 展
2024.11.20(Wed)-12.01(Sun)
11:00~18:00(最終日は16:00 まで)
月・火曜日休廊
軽食とソフトドリンクもお楽しみいただけます。
※画像クリックでPDFが開きます
石井克 虐げられた魂を救済する絵画
石井克の作品は、私たちが生きる世界の裏側に存在する「闇」を観る者に想起さ
せる。本展の出品作品も含めて、モノクロームを強く印象付ける表現には、どのよ
うな想いが込められているのか。
主要なモチーフの一つとして、直立する人のようにも見える鳥の姿が描かれた作
品群がある。これらは、鶏を大量に飼育するために用いられる「バタリ̶飼育」が
イメージのおおもとにあったと、石井から聞いたことがある。また、私の記憶に深
く残るものとして、ホロコースト(大量虐殺)をモチーフにした作品群がある。
「生」が閉じ込められ、虐げられた人々の「魂」を救済すること。これが、石井克
が自身の創作に求め、観る者をひき付けてきた核心なのでははないかと、私は考え
ている。日々報道される国内外の事案をみるまでもなく、私たちの世界は、無数の
虐待と絶望で満ちあふれている。それは、戦争、紛争のような直接的に争うものだ
けではなく、産業、経済が発展して肥大化する中で生まれてきたものも含んで、大
きな「闇」が人の心を侵食し続けている。これらに対して芸術は何を為すことがで
きるのか。
現代の美術は、絵画、彫刻をはじめとする様々な分野で、この問いかけに、数多
くの作家が力を尽くし対峙してきたといえる。その中で石井の作品は、絶望を顕わ
にすることにとどまらず、「闇」から再生に向かおうとする「希望」の意思を感じさ
せることにおいて、独特の魅力を発しているのだ。
篠原誠司(足利市立美術館学芸員)
石井 克 Katsu Ishii
1941年 茨城県水戸市に生まれる。
1961年 群馬県美術展 入選。78 年 同会会員となる。
1963年 二紀展 入選(~70 年)。二紀選抜百人展 出品。
1965年 群馬大学学芸学部美術科 卒業。
1966年 日本版画集団展 出品(~72 年)。
1970年 日本アンデパンダン展 出品(~1993、2013~19 年)。
1972年 自由美術展 入選。佳作作家。78 年会員となる。
1984年 東京展 出品(~94 年)奨励賞、東京展賞受賞。
1985年 群馬版画協会展 出品(~2019 年)。
1994年 宮地佑治と二人展 開催(~2015 年)。
1998年 日本アンデパンダン展企画「今日の人間像」出品。
2013年 九条美術展 出品(~19 年)。
2014年 自由美術展「靉光賞」受賞。
2015年 R293 美術展 出品(~19 年)。
2016年「 石井壬子夫・石井克─父と子の自画像展(広瀬川美術館)」開催。
2019年「 久叡館コレクション展」「 石井克個展(石井画廊)」。
2020年「石井克の鳥展(artspace & café)「」桐生市有鄰館ビエンナーレ」出品。
■現在 自由美術協会会員、日本美術会会員、群馬県美術会会員。
■著作 「生きること描くこと」(国土社・1987 年)
「埴輪になった僕」(煥乎堂・2001 年)
「表現と自立」(一莖書房・2006 年)