山田和三ドローイング展 左手の遠き旅
2019.12.21(Sat)-2020.1.13(Mon)
※2019.12.30(月)~2020.1.7(火)は冬期休業
11:00~19:00(最終日は17:00まで)
月・火曜日休廊
●軽食とソフトドリンクもお楽しみいただけます。
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今年9月、ひとりの男性がギャラリーを訪ねてきました、ぜひ絵を見て欲しいと。それが山田さんとの最初の出会いです。見せていただいた絵は憂いがありながらも伸びやかで、重層する線の群れが美しい沢山のドローイングでした。その作品群は、完成という形で小さく収束してしまうことからうまく逃れて、自らの自由を歌っているようでした。後に画面が手業の中に閉じ込められないように全て左手で描いていると伺って、山田さんの制作に取り組む真摯な姿勢がそのまま画面として息づいているのだと納得しました。
造形家・artspace & café 代表 岩本圭司
いまもっともわたしの好奇心を刺激するのは、一般社会で知的障がい者とよばれている人たちの描く絵画です。大家とよばれている人々が描く絵画にはないものが、アールブリュット(生の芸術)と呼ばれる彼らの作品のなかにあることを再認識したからです。彼らは障がい者ではなく障碍者です。失ったものよりはるかに大きなそして大切な「こころ」が在ります。その感動を自分のものとできたのは、私が15 年前から手紙も絵もすべて左手で書くようになってからのことです。右手(利き手)に比較すれば何倍いや何十倍もの体力と気力が必要でした。でも仕上がったとき、いままで経験したことがない解放感で満たされている自分がそこにいました。今まであるものを全て失ったとしても、それに優るものがそこにあることに気づいたのです。何て馬鹿なことをやっているのかといった中傷も、いまは全く気にならないほど集中できます。いま想うことは下手な絵描きと呼ばれ続けたい…ということです。
山田和三
山田和三 Wazoh Yamada
1950年、埼玉県行田市に生まれる。1973年、本格的に絵画を学ぶために熊谷に転居、里見明正(県北美術協会会長)門下の原田二郎氏に指導受ける。1976年、熊谷市民展にて「藁葺の農家」が特選。1977年、群馬県大泉町に転居、群馬県展に初出品し入選。1978年、サロン・デ・ボザール展に入選(東京都美術館)。1988年、カトリックの洗礼を受け、絵画に対する認識が大きく変わる。1989年、群馬県邑楽町に転居、児童を対象とした絵画教室「SION」をオープン。2005年、版画を学ぶため佐渡に1か月間滞在し、高橋保(現国画会会員)氏より指導を受ける。邑楽ヤングプラザにて個展。2007年、カリタスジャパンイラスト作成。2009年、蝋画作品を中心に展示。2011年、足利日赤にて個展。2017年、忍町アートギャラリーに蝋画作品出品。