長重之展
2019.1.22(Wed)-2020.2.16(Sun)
協力 rin art association
11:00~19:00(最終日は17:00まで)
月・火曜日休廊
●軽食とソフトドリンクもお楽しみいただけます。
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長重之(1935-2019)は約70 年間という長きにわたり足利を拠点に活動した美術家です。実家は本庄高富藩の分領地代官を務めた旧家でした。10 歳で父を亡くし、大地主である長家の家督を相続しました。その後農地改革など土地に関わる問題が、少年時代の長に重くのしかかりました。後の「領域」に対する意識はこの体験と無関係ではないでしょう。
栃木県立足利高校在学中から足利の「VAN 洋画グループ」に参加、オノサトトシノブともこの頃出会います。卒業後ガス会社にボイラーマンとして勤務しつつ「火夫シリーズ」を描きました。これらの作品は日本アンデパンダン展(1963 年)、読売アンデパンダン展(1964 年)に出品され、中央へのデビューを果たしました。
ガス会社に8 年間務めたのち、精神科病院に作業療法士のアシスタントとして働きました。この時の体験は長に大きな影響を与えたと思われます。正常と異常の境とは何か、それは誰がどのようにして決めたのか等、様々な疑問が生じました。
その後、長の関心は「領域」と「境界」に収斂されていきました。「領域」は制度や社会によって定められるが、「境界」は個の意識によるものであり、制度等には束縛されない主体性を帯びています。「領域」と「境界」は本来相互に支えあっていたはずなのに、両者は「遠く引き裂かれ、色を失ってしまった」と長は考え、「境界」のもつ「新たな地平を開く」力を希求します。そして「領域」と「境界」の関係を様々な形で示しました。端的に言えば「視床」は領域と境界のせめぎあい、「ポケット」は境界的なものを内在化した領域、パフォーマンスは領域と境界の統合の試みと考えられます。
本展は昨年7 月に亡くなった長の没後初めての展覧会です。この機会にぜひご覧ください。
江尻 潔( 足利市立美術館次長)