artspace and cafe

藤岡孝一展

2020.12.2(Wed)-2020.12.20(Sun)

11:00~18:00(最終日は16:00 まで)
月・火曜休廊(月・火が祝日の場合は営業し、翌日休)
軽食とソフトドリンクもお楽しみいただけます。

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風の旅人
藤岡孝一の鑿が光る。削った木片が風に散ってゆく。過ぎゆく時への惜別の散華として─。と見る間に、そのカケラ達は身を翻しながら更なる強靭な優しさの風となり、回転する風車となって、彼の新しい分身となってゆく。
その空間は私にとって、例えば、海峡から山峡に架かった美しい虹や、獣道に飛び交う蛍火や、狐の嫁入りの野火などの映し絵が明滅し夢遊する光景に見えてくる。そう、藤岡孝一が刻むのは、実像ばかりではないのだ。そこに立ち現れてくる実像は、何処までも原野を歩み続けようとする彼の強靭な風の視線となってゆく。時には彼は、月光に泳ぎ、波の花を波の華に昇華し、時雨に唄い、大きな靴にバラの花を挿しながら己の旅路に洗心の塩の兎や灰の鴎を放つ。そして又、夢をくぐり抜け、青空をまるごと風船にくるみ、マントを風に翻しながら旅の道連れの馬に花の万華鏡を送る。更なる胸の埋み火に新しい風を送り、 再びの無限への視線を 果てしなく広がる原野に配りながら─ そう藤岡孝一は風の旅人なのだ。
今日も旅の空をゆく彼のカバンの中には、野の花々の朝露で洗顔する楽隊の華やかなマーチがスウィングし谺している。そして、藤岡孝一は、暁闇に屹立する野晒しの一本の鑿となってゆく。。

清水 晃(美術家)



藤岡 孝一 Koichi Fujioka
1950 広島県に生まれる
1972 現代美術家 清水晃氏に師事
1984 八ヶ岳に移住
2002 ギャラリーGARANCE 開設
主な個展
1991 個展 静岡「亀山画廊」
1999 コラボレーション「Ushiro の正面」 甲府「イノセント」 / 個展「TIDE」銀座「画廊春秋」
2004 三人展「THING」 ソウル「インサ・アートセンター」
2005 個展 阪急梅田本店ギャラリー 以後隔年開催
2006 個展 松屋銀座 以後隔年開催
2010 企画展「道人」 駒沢大学日本館
2013 個展 「夢の残像」 銀座「Silkland 画廊」以後隔年開催
2018 企画展 「ART in JAZZ」 阪急梅田ギャラリー